注文住宅で地下室をつくりたい!費用や注意点など
注文住宅の建築にあたっては、理想通りの家づくりをしたいものですよね。とくに地下室にはさまざまな用途があるので、作りたい人は多いことでしょう。ただし、地下室を作るためにはメリットとデメリットがあります。この記事では、地下室をつくるメリット・デメリットのほかに、注意点や費用などを解説しているため、参考にしてください。
地下室のさまざまな用途
日本では暗くて湿気がこもりやすいというイメージのある地下室ですが、アメリカでは古くから防空壕やボイラー室、石炭貯蔵庫などさまざまな用途で使用されてきました。しかし日本は湿度の高い気候のため、アメリカとまったく同じ要領で使用することはできません。そこでシチュエーションごとに、どのような用途で使用できるのか紹介しましょう。
趣味や創作の場所
映画鑑賞用の部屋(ホームシアター)や、音楽室・音楽スタジオ、絵や彫刻などの創作活動の場として使用するパターンです。地下室は部屋が地面に埋まっている特性上、音が周囲に響きにくくなります。そのため地上の部屋のように使うと、近隣住民と騒音トラブルになりかねないスタジオとしても使用できるのです。
収納や貯蔵用の場所
たとえば食料の備蓄庫やワインの貯蔵庫などです。1年を通して気温の変化が少ない地下だからこそ、ワインなどの貯蔵には適しているでしょう。
不測の際に利用する場所
たとえば災害用のシェルターや、予備の部屋としての活用方法です。地震に対しては有効ですが、集中豪雨や洪水などの水害には対策しなければなりません。
生活のための場所
寝室やリビングとして使用する方法です。ただし、地下室を居室とする場合にはいくつか条件があるので、確認しておく必要があります。
地下室のメリット・デメリット
地下室にはさまざまな用途がありますが、使用していくまたは建築する上で、メリット・デメリットが存在します。地下室が欲しいと思ってもデメリットが際立ってしまう場合は、一度検討し直す必要があるでしょう。逆にデメリットを理解しつつ、それでもメリットを魅力的に感じる場合は、建築を進めていきましょう。
地下室のデメリット
地下室は地面に埋まっているという特徴から、浸水・結露しやすくなっています。換気が難しく、洪水などの際、水は下へと向かっていくためです。集中豪雨の際の地下鉄の駅を想像してもらうとわかりやすいでしょう。地下室へ一度でも浸水を許してしまうと、内装の張替えなどで大がかりな修繕が必要となってしまいます。また、結露も放置しておくのは危険です。結露はカビの原因となり、建材の腐食を進める原因になるので万全に対策しましょう。
そして、一番ネックとなる要素は費用の高さです。浸水や結露対策、そもそも土を掘り起こすための工事費用など、多額の費用が必要になります。同じ面積の部屋を設けるとすると、地下室は地上の2倍の費用がかかるといわれているほどです。
地下室のメリット
遮音性や耐震性の高さ、温度が一定に保たれるなどのメリットがあります。部屋の周囲を土で囲まれているため、音が響きにくい構造になっているのです。また、地上部に比べて地下室は地震の影響をあまり受けません。そのため、シェルターや貴重品の保管庫としての利用も可能です。
さらにもうひとつのメリットとして、土地を有効活用できることが挙げられます。建築基準法では地上部分の床面積の半分の床面積までなら、地下に部屋を設けられるのです。たとえばすべての階が同じ床面積だとすると、地上2階建て地下1階の建物が建築可能と定められています。
地下室を作る際の注意点
地下室を作る際には大きく2つの注意点があります。
避難経路の確保
通常、地下室の出入口は室内階段だけとなります。しかし、それでは火事や洪水の際の避難経路としては心もとないでしょう。そのため、地下室と地面との間にドライエリアを設けることをおすすめします。地下室からドライエリアへ、もしくは室内階段から建物内へ両方の避難経路を確保しましょう。またドライエリアを作る際は、豪雨などによりどの程度水位が上昇するのか調べておく必要があります。ドライエリアの手すりが水位より低くなってしまうと、水が流れ込んでしまうからです。
最低限の換気と採光の確保
地下室を居室として利用するためには、最低限の換気設備と、採光のための窓を設けないといけません。この問題も、ドライエリアを設けることで解決できます。また建物自体を山など傾斜部に作る場合、地下室を完全に地面に埋めず一部地上に出ている半地下設計にすることでも対応可能です。
地下室を作る費用
地下室の建築の際に、1000万近くかかることは珍しくありません。内訳は、大きく地下室を作るための費用(約435~560万程度)と、浸水などの対策にかかる費用(約300~750万程度)にわかれます。
地下室を作るための費用には、地盤調査のためのボーリング調査費や地下の鉄筋コンクリート部分の設計図、土を掘ったり運んだりする費用などが含まれるのです。対策にかかる費用としては、地盤改良工事費用や外壁の防水処理費用、排水ポンプの設置費用、結露対策の除湿材費などが挙げられます。とくに地盤などは土地にもよるので、建築会社に相談してみるとよいでしょう。
地下室は建築できればさまざまなメリットを得られる反面、とくに費用面に関しては大きなデメリットがある建築といえるでしょう。デメリットを乗り越えてメリットに惹かれるなら、予算と相談しつつ、建築会社と相談してみてください。