注文住宅にビルトインガレージを設けるメリット・デメリットとは?
注文住宅を建てるなら趣味の空間を設けたい。駐車スペースを確保したいけれど敷地が足りない。これから家を建てる人の中にはこのような想いや悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。ここではおすすめの解決策のひとつであるビルトインガレージについて、メリットやデメリット、設計における注意点などをご紹介します。
注文住宅にビルトインガレージを設けるメリット
まずはビルトインガレージを設けるメリットから見ていきましょう。
狭小地にガレージ付きの家が建てられる
居住する建物とは別に駐車スペースを確保しなくていいので、狭い土地でもガレージを備えた家を建てることができます。ガレージは敷地内の建築物の床面積の1/5を上限に、容積率の緩和を受けられるので、容積率の厳しい都心部などにおいては想定以上の広い家を建てられるというメリットがあります。
2階リビングのメリットを享受できる
1階スペースをガレージとして使用すると、居住スペースを2階以上に割り当てることになります。このことによって眺望がよく採光もしやすい2階以上にリビングを設置するという間取りを選択しやすくなります。
建築コストを抑えられる
居住する建物と基礎や屋根を共有するので、別棟のガレージを設けるよりも建築コストを抑えることができます。
趣味のスペースとして使える
土地が狭いと趣味のスペースや書斎などに割り当てるスペースを捻出するのは難しいものです。ガレージ内のスペースをそのような用途に活用すれば、家で過ごす時間がより豊かで充実したものになるでしょう。狭小地に限らずガレージライフを充実させるには、趣味の空間として設計するのがおすすめです。
注文住宅にビルトインガレージを設けるデメリット
次にビルトインガレージのデメリットについても見ていきましょう。
3階建てになる可能性がある
1階スペースがガレージに専有されてしまうので、居室空間を2階以上に設けないといけません。土地の条件によっては3階建てになる可能性があるので、老後まで住み続ける想定の場合は上り下りが少なくなることを考慮した生活動線や間取りを取り入れる必要があるでしょう。
構法が制限される
複数台の車を格納できる間口の広いガレージを設ける場合は、建物を建てる構法がある程度制限されます。RC構法など間口を広く取れる構法を選ぶか、木造軸組構法なら梁や柱を補強する必要があります。
音が響く
車やバイクの種類にもよるところですが、エンジン音に対しても注意が必要です。暖機運転のためにしばらくエンジンをかけておくといった場合も想定して、エンジン音が居住スペースに響かないような対策が必要となるでしょう。
また、シャッターも音が発生します。最近のシャッターは軽量タイプが多く動作音が静かなタイプもたくさんあるので、あまり気にならない方も多いかもしれませんが、それでもとくに寝室の位置には注意しておくようにしましょう。
ビルトインガレージを設計する際の注意点
ビルトインガレージのメリットとデメリットを理解したところで、最後は設計の際の注意点を確認しておきましょう。
床材・壁材選びの注意点
床材は車の重量に耐え、水に強く油で汚れても気にならない素材をえらびましょう。またガレージは、建築基準法により壁や天井に難燃性の素材を使うことが定められているので、内装にこだわりたい場合はある程度の制限があると想定しておきましょう。
給排水の注意点
ガレージ内での洗車は避ける方が無難ですが、洗車する場合は水に強いコンクリートなどの床材を使用し、排水口をガレージの出入口に設けるとよいでしょう。また、車をいじる人もそうでない人も、ガレージで何かを洗うというシーンは意外とあるものです。シンクを設け、温水も出る給水設備と排水管を備えておくとよいでしょう。
広さに関する注意点
ガレージの広さは今の車だけに合わせず、できる限り余裕を持っておきましょう。最近の車はモデルチェンジのたびに大きくなりがちなほか、荷物の積み下ろしや将来福祉車両を使う場合も想定すると取り回しができなくなります。また、ガレージ内にタイヤなどを保管しておくスペースも確保しておいたほうがより利便性が高まります。
200Vの電源を設置
電気自動車の普及に備えて充電用の200Vコンセントの配線だけでも済ませておくと、後からリフォーム費用がかかりません。
部屋として使用する場合の注意点
ビルトインガレージに部屋としての機能を持たせる場合は、ほかの居室同様に生活シーンを想定した綿密な動線を設計しましょう。また長時間過ごすことを想定してエアコンや換気扇を備えると便利ですが、その場合は風の吹き込みを防ぐためにシャッターが閉まりきる位置をガレージの床より20mmほど低くするとよいでしょう。
まとめ
ビルトインガレージは単なる車の格納庫と違い、豊かで充実した時間をもたらしてくれるスペースです。使い勝手がよくデザイン的にも洗練されたガレージを作るなら、専門的な知識を持ち経験も豊富な建築家や業者に相談するとよいでしょう。注文住宅を建てるなら、ビルトインガレージを設置して充実のガレージライフを満喫してみませんか。